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可能な連勤日数は?『変形休日制』の導入方法と注意点

25.02.11
ビジネス【労働法】
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労働基準法では、使用者は労働者に対して、少なくとも毎週1日以上の休日を与えなければならないと定められています。
しかし、業種や働き方によっては、「週休1日制」が適用できないケースもあります。
そこで、労働基準法の例外的な規定として、「変形休日制」が定められています。
変形休日制とは、週休制がむずかしい場合に、4週間を通じて4日以上の休日を与えることにより、労働者の休日を確保する仕組みのことです。
長期の連続勤務が可能になる制度だけに、制度の見直しも検討されている変形休日制の詳細について解説します。

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4週間に4日の休日を付与する「4週4休」

労働者に休日を付与する場合は、労働基準法第35条の1項で定められている通り、週休1日制の「1週1休」が原則です。
週休1日制では、たとえば毎週火曜日を休日にするなど、可能な限り曜日を特定するのが望ましいとされています。


この週休1日制に対して、「変形休日制」は、4週間を通じて4日以上の法定休日を付与する「4週4休」が基本となります。
労働基準法第35条の2項で「4週4休を採用している場合は、1週1休の原則を適用しない」と定められている通り、週休1日制が困難であれば、4週間に4日の休日を付与する変形休日制でも問題はありません。


変形休日制を採用している場合、たとえば1週目と3週目に休日がまったくなくても、2週目と4週目にそれぞれ2日の休日が定められているなど、4週を通して4日の休日が確保できていれば、法令違反にはなりません。


曜日に関係なく継続して作業を行う必要がある建設業や、定休日のない小売業、工場が24時間操業の製造業など、主に週休1日制のむずかしい業種で採用されている変形休日制ですが、新たに導入する場合はまず労働者の合意を得ておく必要があります。
特にこれまで週休1日制や週休2日制だった職場では反発が予想されます。
必要性を丁寧に説明し、すべての従業員に納得してもらったうえで、導入を進めていきましょう。


労働者の合意を得たら、変形休日制がスタートする「起算日」を決めて、就業規則に明記しておきます。
この起算日以降は、必ず4週間に4日以上の休日を付与する必要があります。
変形休日制では、土曜日や日曜日を休日にしなければならないという規定はありませんが、週休1日制と同様に、可能な限り曜日を特定するのが望ましいとされています。


起算日が決まったら、従業員への周知も忘れずに行なっておきましょう。
社内の掲示物や社内報、メールなどで周知を図る必要があります。


また、企業によっては業務の関係上、一部門のみに、変形休日制を導入しなければならないケースもあります。
週休1日制と変形休日制が混在している企業も少なくありません。
新たに変形休日制を導入する場合は、勤怠管理が複雑になる可能性もあるため、勤怠管理システムの見直しなども必要になります。
適時、準備を進めていきましょう。

現行法では48日間の連続勤務も可能だが……

使用者が変形休日制の導入で注意しなければならないのは、労働者の心身の健康です。
1週1休であれば、連続勤務の上限は原則12日間となりますが、変形休日制を導入することにより、労働者は最長で48日間の連続勤務が可能になります。
原則として4週間に4日の休日を付与すればいいわけですから、4週のうち最初の4日にまとめて休日を付与し、残りの24日間は勤務日、次の4週は最初の24日間を勤務日とし、最後の4日にまとめて休日を付与するというかたちで48日間の連続勤務が実現できます。
しかし、制度上の問題はないものの、このような勤務形態は、労働者の心身に大きな負担がかかり、健康を損なう可能性があります。

使用者には労働者の健康を守らなければならない「安全配慮義務」が課されています。
ハラスメント対策や職場の安全管理などと共に、労働者の過重労働の防止も使用者の責務です。
もし、長期間の連続勤務によって労働者の心身の健康が損なわれた場合、使用者の責任が問われる可能性もあるので注意してください。

また、労使間で「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」を結べば、変形休日制であっても休日出勤を命じることができ、制度上は際限なく連続勤務をさせることも可能になってしまいます。
そこで、厚生労働省では現状を踏まえて、14日以上の連続勤務を禁止する案を軸に、変形休日制の見直しを検討しています。
これまで、過重労働防止の取り組みのなかに連続勤務の上限設定はありませんでしたが、法改正によって上限が設けられることになる可能性が高く、今後の動きを注視しておきましょう。


一般的に、変形休日制は週休1日制よりも過重労働につながりやすい制度です。
労働者の健康に配慮しながら、休日と勤務日を設定しましょう。



※本記事の記載内容は、2025年2月現在の法令・情報等に基づいています。