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健全な組織にするために、行うべき『ストレスコーピング』

25.02.11
ビジネス【人的資源】
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従業員がストレスを感じる職場は、生産性の低下や離職の増加などを招きます。
従業員が心身共に健康でいられるように、事業者はストレスを軽減させる措置を取らなければいけません。
そこで注目したいのが「ストレスコーピング」という取り組みです。
コーピングには「対処する」「切り抜ける」という意味があり、ストレスコーピングは、ストレスが生じている状況や問題への対処方法を意味します。
事業者が取り組むべきストレスコーピングの内容について解説します。

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ストレスフルな社会とストレスが与える影響

労働環境の変化や競争の激化などにより、昔よりも仕事にストレスを感じる従業員は増えています。
厚生労働省による2023年の「労働安全衛生調査」では、現在の仕事や職業に対して、強い不安や悩み、ストレスを感じているという労働者の割合は82.7%でした。
ストレスの原因となるのは、仕事の失敗や責任が39.7%ともっとも多く、次いで仕事の量が39.4%、対人関係が29.6%と続きます。


ストレスは人間の判断力や集中力に大きく影響し、従業員のストレスを放置したままだと、ミスやエラーが発生し、全体の生産性を落としてしまうことになります。
チームワークや社内の士気も低下しますし、モチベーションや仕事の満足度が下がった従業員は退職してしまいます。


さらに、ストレスは従業員の健康に直結する問題でもあります。
職場のストレスによって心身の健康を害した場合、事業者は責任を問われる可能性もあるので注意しなければいけません。


そもそもストレスとは、心理学的に外部から刺激を受けて、心に負荷がかかる緊張状態を指します。
また、ストレスの原因となる外部からの刺激は「ストレッサー」と呼び、負荷がかかった状態のことを「ストレス反応」といいます。
しかし、ストレッサーによって、ただちにストレス反応が起こるわけではなく、その人の「認知や考え方」などの心理的な要因で、心身に生じる反応も異なることがわかりました。
同じように上司から叱責された場合でも、寝込んでしまうほどショックを受ける従業員がいる一方で、まったくダメージを受けない従業員もいるということです。


このストレスコーピング理論を提唱したのが、アメリカの心理学者のリチャード・ラザルスとスーザン・フォークマンでした。
2人はさらに、ストレッサーにアプローチする「問題焦点型コーピング」や、その人の認知や考え方にアプローチする「情動焦点型コーピング」などの方法も提唱しました。

ストレスの原因や考え方にアプローチ

職場における問題焦点型コーピングや情動焦点型コーピングは、どういったものなのでしょうか。
たとえば、「会社から能力以上の仕事を割り振られたこと」が、その従業員にとってのストレッサーだったとします。
問題焦点型コーピングは、ストレスの根本の原因であるストレッサーを取り除くことでストレスの低減を図る方法です。
上記の例では「仕事の割り振りを変更する」「上司が仕事をサポートする」といった解決方法が考えられます。


一方、情動焦点型コーピングは、ストレッサーではなく、本人の認知や感情をコントロールして、ストレスの低減を図る方法です。
上記の例では、上司からの言葉が情動焦点型コーピングの一つになります。
仕事を割り振られた従業員にとって、その仕事が能力以上のものだったとしても、上司による「経験が得られ、将来的なキャリアにもつながる」「会社がそれだけ期待しているということ」といった励ましの言葉や説得が、認知や考え方を変えるきっかけの一つになるかもしれません。


ただし、こうしたストレスコーピングは属人的な面が強く、制度として運用していかないと、効果を発揮しません。
そこで、メンター制度の導入を考えてみてはいかがでしょう。
メンター制度とは、キャリアのあるベテラン社員がほかの社員の仕事やメンタルのサポートを行う教育制度で、多くの企業で取り入れられています。
特に経験の浅い新入社員や若手社員は仕事や人間関係でストレスを抱えることが多く、直属の上司ではないベテラン社員にいつでも気軽に相談できる環境が構築されていれば、精神的にも楽になります。


ほかにも、心理カウンセリングやメンタルヘルス研修など、ストレスコーピングを制度として活用していく方法はいくつかあります。
自社の環境に合わせた制度を導入し、ストレスを抱える従業員に対して、ストレスコーピングを実践していきましょう。



※本記事の記載内容は、2025年2月現在の法令・情報等に基づいています。