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介護施設における有効なインフルエンザ感染対策とは

25.02.04
業種別【介護業】
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2024年の年末から2025年にかけてインフルエンザが全国各地で猛威をふるいました。
厚生労働省が2025年1月9日に発表した資料によると、2024年12月23日~29日の1週間における定点医療機関からのインフルエンザ発生状況報告数は「317,812人」となり、今季初めて30万人を超えました。
また、定点当たりの報告数は「64.39」となり、現在の集計方法となった1999年4月以降で最も多くなっています。
1定点当たり30.0人/週を超えると警報開始となりますが、警報レベルを超えている保健所管轄区域は490カ所で47都道府県に分布しており、全国各地へ急速に拡大したことがわかります。

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介護事業所のインフルエンザ対策の必要性

抵抗力が弱い高齢者や循環器・呼吸器疾患などの基礎疾患を持っている方がインフルエンザ感染症に罹患した場合、重症化しやすく、場合によっては死に至ることもあります。
そのため、老人保健施設やデイサービスなど、インフルエンザなどで重症化につながりやすい方たちが共同生活している施設では、管理責任者および職員がインフルエンザウイルスに関する正しい知識をもち、日頃から感染対策を講ずることにより、施設内へのインフルエンザウイルスの侵入を防ぐことが重要となります。
また、施設内で感染者が発生した場合には、迅速に感染拡大予防対策を講ずると共に、感染者に対して早期の対応を行うことで利用者の安全を確保する必要があります。
職員が感染した場合は、利用者への満足なサービス提供ができなくなり、介護施設としての事業継続にも多大な影響を及ぼす可能性がありますので、施設全体で感染予防対策に取りくむ必要があります。

インフルエンザの感染予防のためには、原因となるインフルエンザウイルスを体内に侵入させないことや周囲にウイルスを広めないようにする必要があります。
そのためには、日ごろから「正しい手洗い」「バランスのとれた栄養摂取」「マスクの着用」などの徹底や、「予防接種の促進」「室内のこまめな換気」などの取り組みが重要です。

なかでも職員のインフルエンザ予防接種は重要な対策ですが、ワクチン接種は治療行為ではなく健康保険適用外として取り扱われており原則自己負担となってしまうため、ワクチンを接種する方は限られてしまいます。
ワクチン接種を促進するためには、ワクチン接種の費用補助を、職員全員を対象にした福利厚生制度として取り入れるのも有効な手法の一つです。
また、福利厚生制度とすることで、インフルエンザワクチン接種補助費用を経費として取り扱うことが可能となります。

そして、フェーズごとに計画を講じることも有効です。
たとえば、感染が広がる前の感染予防対策、感染者発生時の拡大防止対策、感染拡大時の事業継続対策に分けて対応方法をマニュアル化し、職員への事前の周知・研修を実施することで施設にとって効果的な取り組みとなります。

インフルエンザ対策のための具体的な対策法

介護施設におけるインフルエンザ対策の具体策をまとめると、次のようなものがあげられます。
・職員へのインフルエンザ予防接種の促進。費用の全額または一部を負担する福利厚生制度を検討する。
・職員にマスクの着用を徹底する。
・正しい手洗い方法の徹底。流水と石鹸を用いて15秒以上行う。
・室内のこまめな換気を行う(1時間に1回以上目安)。
・施設内に加湿器を設置して、適切な湿度を維持する(50~60%程度)。
・アルコールを含む消毒液を施設内に常備する。
・感染者が触れた可能性の高い場所の清掃、消毒を徹底する。
・職員へ感染予防対策についての研修を実施する。
・取引業者や出入り業者との情報交換を行う。
・医療品や介護用品の在庫確認を行う。
・衛生設備(トイレ、浴室など)の使用ルールを設定する。
・食事提供時の感染対策を周知する。
・感染者発生時の施設内のゾーニングや動線を整理しておく。
・感染の疑いがある場合に備えて、一時的な隔離スペースを確保しておく。
・インフルエンザなどの感染拡大に備えたBCP(事業継続計画)を作成する。
・地域の医療機関との連携体制をマニュアル化する。
・利用者または職員が感染した際の救急車利用マニュアルを策定する。

感染者が発生した際に感染拡大を防ぐためには、初期の対応が重要といわれています。
初期対応を適切かつ迅速に実施するためには、事前に対応手順や方法、施設の方針を話し合ってマニュアル化し、職員間で共有しておくことが必要です。
また、感染予防対策を効果的に実施するためには、施設全体の対応能力を向上させなければなりません。
感染症流行時にその影響を最小限に抑えるためにも、定期的な研修や訓練を実施し、感染者発生時に適切に対応できる体制を整備しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2025年2月現在の法令・情報等に基づいています。