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個人資産を法人化! 資産管理会社の活用による相続税対策

25.02.04
業種別【不動産業(相続)】
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個人で不動産や株式などの資産を保有している場合、資産管理会社を設立するケースがあります。
これは、資産管理会社を活用することで、節税効果が期待できるためです。
ただし、メリットばかりではなく、会社の設立や維持に費用がかかること、また法人が管理する資産の利用には制限があるなどのデメリットも存在します。
今回は、資産管理会社設立による節税効果とそのリスク、具体的な活用方法について解説します。

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資産の法人化によるメリットとは

個人で不動産や株式などの資産を保有している場合、それらを法人に移すことで節税になることがあります。
これは、個人と法人で所得に対する税金の種類が異なり、それに伴って税率も異なるためです。
課税所得額が一定を超えると、個人の資産にかかる所得税率の方が法人税率よりも高くなるため、課税所得額が大きくなればなるほど、法人に移すことで利益に対して発生する税額を少なくすることが可能です。
そのため、すでに法人を設立している場合は、その法人に資産を移転するのが有効な手段となる場合があります。

一方で、まだ法人を設立していない場合は、資産管理に特化した「資産管理会社」を新たに設立することが節税対策として考えられます。
資産管理会社とは、文字通り不動産や株式などの資産を所有・管理することを目的として設立する法人のことです。
基本的には資産管理以外の事業活動は行いません。
具体的には、個人で保有する不動産や有価証券、美術品などの資産を法人に移転し、その運用や管理を行うことが資産管理会社の主な役割です。

資産管理会社を設立することで期待できるメリットは、主に3つあります。
まず、個人名義の資産を会社に移転することで、相続税評価額を下げる効果が見込めることです。
法人が有する財産は相続税の対象とならないため、法人に資産を移転することで個人の所有財産を減らすことができます。
次に、法人化によって経費の範囲が広がることです。
法人の場合、個人事業主が計上できる経費に比べ、自身の給与や賞与なども経費として計上することができるためです。
最後に、配偶者や親族を役員にし、役員報酬を支給することで所得の分散が可能な点も、大きな利点の一つといえます。
役員報酬は給与所得となるため、給与所得控除が適用されます。
控除の適用範囲は、受け取る人それぞれとなっているため、役員報酬を受け取る人数分の控除の合計金額分だけ節税効果が得られることになります。

上記のメリットを踏まえると、資産管理会社の設立が向いている人には、(1)不動産などの高額資産を保有している人、(2)事業承継をスムーズに行いたい人、(3)相続税の節税対策に興味がある人、(4)個人投資家、(5)オーナー社長などがあげられます。
こうした方々にとって、資産管理会社の設立は、さまざまなメリットをもたらす有効な手段といえるでしょう。

ただし、「資産規模が小さい」「事業規模が小さく安定していない」「法人設立や維持の手続きを行う余裕がない」といった場合は、十分なメリットが享受できない可能性があります。
自身の資産状況や事業規模に合わせて、検討を進めることが大切です。

資産管理会社の設立で気をつけるポイント

資産管理会社の設立にあたっては、いくつか注意すべきポイントがあります。

まず、会社設立には登記費用をはじめとした初期費用が必要です。
資本金の額によって多少変動するものの、一般的には合同会社の場合で約10万円程度、株式会社の場合で約25万円程度の設立費用の実費が必要となります。
また、個人から資産管理会社に資産を移転する際に、資産が不動産の場合は、個人には不動産譲渡所得税、法人には登録免許税や不動産取得税などの税金についても考慮しなければならないため、初期費用を準備しておく必要があります。

上記の設立費用に加えて、毎年の税金や経理処理などの維持費も発生します。
資産規模が小さい場合、これらのコストが節税効果を上回ってしまう可能性があるため、注意が必要です。

そして、意外と見落としがちなのが、一度、資産管理会社に移した資産は、会社の所有物となるため、個人が自由に使うことはできなくなるということです。
資産の自由な活用を望む場合、このような制約はデメリットとなり得ます。

上記のデメリットを理解したうえで、資産管理会社を設立する場合、法人設立の手続きが必要になります。
資産管理会社の設立にあたっては、通常の法人設立と同じ手続きで問題ありません。
具体的には、(1)会社設立に必要な情報を決め、必要書類などを準備する、(2)法人設立登記を行う、(3)税務署への開業届出のためや、口座を開設したい金融機関などに必要書類を提出する、といった手順を踏むことになります。
一点、通常の法人設立と異なるのは、会社設立後に、個人名義の資産を資産管理会社へ売却するなどして、法人への資産の移転を進める点です。
一連の手続きを進めるうえでは、移転する資産ごとに、定められている手順に沿って適切に対応することが重要です。
特に、個人資産の評価額算定や売却価格の設定など、税務上の取り扱いには細心の注意が必要となります。

資産管理会社の設立は、相続税対策や事業承継の円滑化という大きなメリットがあるため、資産家にとって検討に値する選択肢の一つといえます。
ただし、設立を検討する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の置かれた状況に合わせて慎重に判断することをおすすめします。


※本記事の記載内容は、2025年2月現在の法令・情報等に基づいています。