美容サロンを有料会員制にするメリットとデメリット
有料の会員制美容室とは、会員登録して会員費を支払った顧客に限定して、施術などのサービスを提供する美容室のことです。
会員制美容室には月額制や年額制があり、利用するお客は高品質のサービスを求めて、一定の会員費を支払って会員になります。
しかし、美容室を会員制にしたとして、本当に顧客を集めることはできるのかという疑問が浮かびます。
会員制美容室のメリットとデメリットを理解したうえで、会員制への移行を判断する必要があります。
収益の安定化や質の高い顧客の確保が可能に
会員制美容室の会員費は年額数千円から数万円と店によってさまざまで、会員費とは別に施術料が必要な店もあれば、カットからヘアアレンジまで、すべての施術が会員費に含まれる定額制の店もあります。
いずれの美容室も、会員になった顧客にしかサービスを提供しないという部分では共通しており、抱える顧客の数はある程度絞られてきます。
顧客獲得のための間口を狭めてしまう印象のある会員制美容室ですが、オーナー側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
一番は、安定した収益が確保できることにあります。
美容室にも「繁忙期」があり、年末の12月や年度末の3月は忙しい傾向にあります。
逆に、繁忙期ではない2月や11月などは比較的、空く傾向にあります。
一般的な美容室のように、月ごとの収益に偏りがあると、固定費の支払いに支障が生じたり、キャッシュフローが悪化したりする可能性があります。
場合によっては緊急の資金調達が必要になるケースもあるでしょう。
会員制にして収益が安定すると、こうした資金繰りに関するリスクを防ぐことが可能ですし、店の収益が把握しやすいため、今後の経営計画についても見通しが立てやすくなります。
また、お客の数を正確に把握できるということは、施術の計画についてもある程度の予測ができるということです。
会員数に基づいて施術の予定を組めるため、スタッフの配置や材料の仕入れなどが効率的に行えますし、お客が予約を取れずに、顧客離れに発展するといった事態も防げるでしょう。
さらに会員になったお客とは継続して関係性を築いていくことになるため、お客も安心して施術が受けられます。
特に既存の顧客からの紹介でしか入会できない会員制美容室は、結果として質の高い顧客が集まり、無用なトラブルやクレームなども起きづらくなるでしょう。
会員のお客に喜んでもらうための工夫とは
会員制の美容室は他店との差別化を図るためには最適の仕組みですが、一方でリスクもあります。
たとえば、オープンしたばかりで知名度も固定の顧客もいない美容室は、会員制にしても会員が集まらない可能性があります。
お客からすれば、その店で「質の高いサービス」が受けられるかどうか判断がつきません。
会員制美容室は「会員になる価値」があると思われないと、成り立たない仕組みともいえます。
「地域に馴染んで、ある程度の固定客がついてから会員制に移行する」「前もって高級路線であることをアピールしてファンを確保しておく」などの工夫が必要になります。
また、会員制にするということは、非会員である一般の顧客や一見客を取り込めないということでもあります。
会員に特化する方向に舵を切ったのであれば、抱えている会員のお客が離れないようにしなければいけません。
高品質なサービスの提供はもちろんですが、特別感のあるプライベートな空間づくりやその店でしか体験できない施術メニューなど、「会員になってよかった」と思わせる仕掛けが必要になります。
誕生日プレゼントや専属スタイリストの設定、会員限定の美容に関するワークショップの開催なども効果的です。
さらに、会員制美容室の場合、一般的な美容室よりも顧客情報の管理が重要になります。
会員のお客の好みや利用傾向などのデータを参考にして、個々のお客に合わせたサービスを提供すれば、より一層お客に価値を感じていただけるかもしれません。
会員制美容室は何よりもお客との信頼関係が大切です。
一般の美容室よりも、施術の仕上がりや接客態度、お客とのコミュニケーションなどは重点的に意識する必要があります。
会員制美容室の会員になるお客の多くは、高品質の施術やパーソナライズされた対応、特別感や安心感などを求めます。
お客の期待を裏切らないように努めることが、会員制美容室を成功させるための重要なポイントです。
※本記事の記載内容は、2025年2月現在の法令・情報等に基づいています。