日本人は自己肯定感が低い? 介護職員の自己肯定感を高める方法とは!?
『自己肯定感』という言葉をご存じでしょうか。
自己肯定感とは、現状における自分の在り方や価値、存在意義などを肯定的に受け入れることを意味します。
簡単にいうと自分を構成している長所、短所などをすべて認めて、『ありのままの自分』を素直に受け入れることを指します。
他人と比べることなく、ありのままの自分を認める感覚を持つことで、自信につながり、物事を前向きにとらえることができるようになります。
近年、この自己肯定感が注目されており、友人関係の構築、職場でのパフォーマンス向上など、さまざまな面で影響を与えるといわれています。
自己肯定感が高い人・低い人の特徴とは?
日本人は諸外国と比較して自己肯定感が低いといわれています。
2014年に日本、米国、中国、韓国の高校生を対象に行われた『高校生の生活と意識に関する調査』でも、「私は人並みの能力がある」や「自分の希望はいつか叶うと思う」と回答した高校生の割合は日本が一番低く、「自分はダメな人間だと思うことがある」という質問に対して「そう思う」と回答した日本の高校生は7割を超え、ほかの国と比べて最も高い数値になっています。
このように、若い頃から自己肯定感が低いまま社会人になってしまうと、少しの失敗や挫折でも仕事に対する自信やモチベーションをなくしてしまい、早期退職につながってしまう可能性があります。
自己肯定感が高い人は、自信を持って行動し、何事にも前向きに取り組むことができ、以下のような特徴がみられます。
自己肯定感が高い人の主な特徴
(1)感情のコントロールができる
(2)失敗を恐れずに何度でもチャレンジできる
(3)失敗した場合でも客観的に原因を振り返ることができる
(4)ストレスやプレッシャーに強く、高いパフォーマンスを発揮できる
(5)他者を非難することがなく、健全な人間関係が構築できる
一方、自己肯定感が低い人は、自分に自信がないため、極度に周囲の評価が気になり、何事もネガティブに受け取ってしまう傾向にあります。
自己肯定感が低い人の主な特徴
(1)物事に関して無関心を装ったり、興味のないふりをしたりする
(2)失敗を恐れる傾向にあり、新たなことにチャレンジできない
(3)失敗することで、自分に自信がなくなり、ネガティブにとらえる
(4)他人の評価を気にして、高いパフォーマンスを発揮できない
(5)物事を否定的にとらえるため、うまく人間関係が構築できない
介護職員の自己肯定感を高める方法とは
自己肯定感を高めることは介護職員にとっても必要な課題となります。
介護現場は常に人手不足と隣り合わせという状況が続いているため、若い職員も短期間で一人前になることが求められます。
しかし、入職間もないうちは、利用者への対応や仕事の段取りなどで失敗してしまうこともあるでしょう。
そのような場合でも、失敗を経験として次に活かすためには、自分の感情をコントロールし、前向きに取り組むことができる人材を育成しなければなりません。
そのためにも、介護事業所として介護職員の自己肯定感を高めることを意識した取り組みを行うことが重要になります。
自己肯定感を高めるための具体的な取り組みとしては、以下のような例があります。
・成功体験を与える
小さな成功体験であっても、それを積み重ねていくことで、自信につながります。
たとえば、日常的なタスクの達成に応じて一定の評価を与えることも成功体験につながります。
・承認する
職員のよいところを認め、言葉にして伝えることが重要です。
他者からの肯定的な評価や承認を受ける機会が増えれば、自己評価を上げることができるようになりますので、日頃からよい行動や意見があった場合は速やかにフィードバックを行うように努めましょう。
・具体的な評価を伝える
評価するときには、抽象的な言葉ではなく、具体的に何がよかったのか、どこが成長したのかを伝えることで職員の心に響くメッセージとなり、モチベーションの向上に繋がります。
・対話やコミュニケーションの実践
職場での対話やコミュニケーションを有効に活用することも重要です。
朝礼やランチミーティングなど、短時間でも定期的にコミュニケーションをとる機会を設けることがよいでしょう。
自己肯定感を高めることは仕事面での成長につながります。
職員からのポジティブな意見を積極的に取り入れてみることや、職員の取り組みに対して評価を行うこともよいかもしれません。
まずは自社の現状と各職員の自己肯定感がどの程度あるのかについて、把握することから取り組んでみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2024年8月現在の法令・情報等に基づいています。